クリニックの看護師の転職・復職事情|家庭と仕事の両立に最適

クリニック看護師の転職

看護師の転職先として人気のクリニック

クリニックは看護師の転職先、再就職先として人気のある職場です。

クリニックに転職したい看護師さん向けに、クリニックでの働き方について詳しくお伝えします。

クリニックの看護師の転職・復職事情【解説動画】

クリニック看護師は転職やブランクからの復職する看護師にとって、人気があります。

その理由は、通常、勤務場所が近く、日勤のみで、休みもしっかり取れることが多いからです。

厚生労働省の『医療施設動態調査』(※2)によると、全国のクリニック・診療所の数は、102,712施設(病院は8,288)です。

2020年9月時点のコンビニ数が55,852軒(※3)であることから、コンビニの2倍近くあります。

それだけクリニック・診療所は多く、患者さんにとっても身近な存在だということです。

看護師の就業場所

看護師の就業場所(※1)として、病院の次に多いのがクリニック・診療所であることからも分かる通り、転職先としても病院の次に多くなっています

看護師転職サイトでもクリニック・診療所の求人は多いです。

看護師転職サイト 公開求人数
看護roo! 6093件
ナースではたらこ 1900件
マイナビ看護師 7154件
看護のお仕事 19421件(パート含む)
ナース人材バンク 3663件

よくある転職、復職の事例としては、大学病院や総合病院に勤めていた看護師が、クリニック・診療所に転職、復職するパターンです。

病院にこだわらないのなら、クリニック・診療所を転職時の選択肢に入れるのもよいでしょう。

クリニック看護師iに向いている人
  • 基本的な看護スキルを持っている人
  • プライベートで規則正しい生活を送りたい人
  • 少人数で密なコミュニケーションのできる職場で働きたい人
クリニックとは?
クリニックは、無床もしくは「19床以下のもの」という定義(医療法第1条の5第2項)があります。
20床以上ある施設が病院(医療法第1条の5第1項)です。
クリニックは開設者が医師である必要はありません。
市町村のような自治体、医療法人、社会福祉法人などでも開業できます。
病院と異なり、スタッフの条件も特に決まっていません。
病院との主な役割の違いは、初診はクリニックで行い、より精密な検査は病院で行うことが多いです。
患者さんが大きな病院で検査をする時には、「紹介状」を出します。

クリニックの看護師の仕事内容は?

診療補助・看護業務

クリニックに勤める看護師は、採血や血圧測定、点滴処置などの基本的な看護処置や診療補助を担当することが多いです。

また問診などの外来業務、検査説明、心電図測定、レントゲン写真の現像などを担当することがあります。

その他の雑務

クリニックは病院と比べると、看護師の人数が少ないです。

したがって、看護業務以外の雑務もこなす必要が出てきます。

たとえば、医療器具の洗浄や消毒、ベッドシーツやタオルなどの洗濯なども看護師の業務です。

クリニックによっては、クリニック内の掃除や備品類の管理業務、受付や電話対応を行うこともあります。

クリニック看護師に転職して働くメリット・デメリットとは?

クリニックの看護師のメリット・デメリット

クリニックの看護師に転職、復職する看護師は多いですが、転職する前にクリニック・診療所で働くメリットとデメリットを理解しておいた方がよいでしょう。

以下、クリニックで働くメリットとデメリットをまとめました。

クリニック看護師の5つのメリット
      ①日勤だけの勤務で休みが取れる
      ②地域の患者さんとの距離が近い
      ③ブランク・未経験の診療科でも働けることが多い
      ④通勤時間が短くなる可能性がある
      ⑤患者さんの急変が少なく、看取りも少ない

①日勤だけの勤務で休みが取れる

ほとんどのクリニックは入院施設がないため。勤務は日勤が中心です。

残業も少ないため、夜勤がある病院勤務と比べると精神的・体力的な負担が少ないことがメリットといえます。

クリニックは日曜・祝日など休診日が決まっているため、休日もきちんと計画通りとることができます。

以上の様な理由から、クリニックは規則正しい生活を送りたい看護師におすすめの職場といえるでしょう。

②地域の患者さんとの距離が近い

クリニックで診療する患者さんは、近隣に住んでいることが多いです。

たとえば、内科のクリニックの場合、風邪を引いた時やインフルエンザの予防接種など、定期的にクリニックを訪れる機会があるため、患者さんと看護師が顔なじみになりやすくなります。

患者さんの待合時間に話し相手になることもあるので、患者さんとのコミュニケーションを取りたい看護師さんにとっておすすめの職場です。

③ブランク・未経験の診療科でも働けることが多い

クリニックには重篤な患者さんが少ないです。

そのためクリニック看護師は病院看護師と比べると最先端の看護スキルを求めらないことが多いです。

したがって一度看護師の仕事を辞めた方が「もう一度看護師として働きたい」と考えた時や未経験の診療科で転職する時にクリニックを勤務先に選ぶケースが多くなっています。。

④通勤時間が短くなる可能性がある

クリニックに勤務すると勤務時間が短くなる可能性が高いです。

クリニックは駅近にあることが多く、求人を選ぶ時に自宅の徒歩圏内のクリニックを選ぶことで、徒歩で通えるからです。

通勤時間が短れば、プライベートの時間を充実させることができます。

⑤患者さんの急変が少なく、看取りも少ない

クリニックは、患者さんの急変や看護師にとってつらい看取りも少ないため、精神的な負担は少ないです。

クリニック看護師の5つのデメリット
      ①夜勤がないため給料が下がる可能性がある
      ②急な休みや長期休暇を取りにくい
      ③院長や他のスタッフと関係が悪くなると働きづらい
      ④看護スキルが下がる可能性がある
      ⑤看護以外の業務が増える
①夜勤がないため給料が下がる可能性がある

病院看護師の平均年収は約483万円(※4)ですが、クリニック勤務の看護師は夜勤がなく夜勤手当が支給されないこともあり、給与が下がることが多いです。

そのため、病院からクリニックに転職するケースでは、給料が下がる傾向にあります。

また非常勤などで勤務時間が短い場合もありますので、その分給与も低い事が多いです。

また、クリニックは小規模な組織なので給与体系が決まっておらず、昇給がないケースもあるので、長期間働いても給料がアップしない可能性もあります。

②急な休みや長期休暇を取りにくい

クリニックでは働いている看護師の人数が少ないため、誰かが急にお休みをとると仕事がまわらなくなってしまい、同僚に負担がかかります。

同じ理由から、休診日以外の長期休暇もとりにくい職場が多いといえます。

もちろん、看護師さんの中に小さな子供がいる場合、「子供が急に熱を出してお休みをとりたい」ということもあるでしょう。

したがって、クリニックに転職する際は、家庭の事情をあらかじめ相談しておくことをおすすめします。

③院長や他のスタッフと関係が悪くなると働きづらい

クリニックは少人数のスタッフで仕事をするため、アットホームな雰囲気で働ける反面、人間関係や院長の方針が、職場の働きやすさに大きく影響します。

特にクリニックのトップの院長との相性は重要です。

病院の場合は上司は管理職ですが、クリニックでは院長が上司であると同時に雇用主でもあります。

そのため、院長と相性が合わないと働きづらいくなってしまいます。

クリニックによっては院長夫人が運営に参加していることもあり、その場合、院長夫人にも気を遣う必要もあります。

狭いコミュニティでの人間関係が苦手な人には、クリニック勤務は向いていない可能性が高いです。

④看護スキルが下がる可能性がある

クリニックを訪れる患者さんの多くは、重篤な疾患でないことが多いです。

そのため、クリニック看護師の業務は血圧測定や採血などの基本的な処置が中心です。

したがって、高度な看護スキルが必要とされない傾向があります。

そのため、「看護スキルをアップしたい」という人は物足りなさを感じるかもしれません。

しかし、クリニックには重篤な症状になる前の段階で病気を見つける役割があります。

つまり、プライマリーケア(いろいろな症状・病気に対する初期治療)に興味のある方にとっては、やりがいをもって取り組める環境であるといえます。

⑤看護以外の業務が増える

クリニックにはスタッフが少ないため、病棟看護師の仕事と同じ仕事だけをすればよいということは少ないです。

看護業務以外の雑務として、受付や電話応対、薬品・備品の管理、診療室の清掃なども含まれると考えておいた方がよいでしょう。

クリニックへの転職は病院勤務を経験してからがおすすめ

クリニック看護師に転職するのは、病院で基本的なスキルを身につけてからがおすすめです。

クリニック看護師に転職するベストなタイミングは、病院で3年以上経験を積んでからがよいでしょう。

その理由として、3年間、病院で経験を積めば、採血や注射、点滴処置などクリニックで必要な業務をスムーズにできるようになっているからです。

また一般的にクリニックでは病院と比べると教育体制が整っていないことが多いため、とくに新人のうちは病院で看護スキルを学んだほうがよいです。

新人でクリニックに入職するという選択肢もありますが、病院勤務で学べるスキルや知識を身につけるチャンスがありません。

生涯クリニックに勤務する場合は問題ありませんが、クリニックから病院への転職も考えている場合は、若いうちに病院勤務を経験しておくことをおすすめします。

クリニックの看護師求人募集の見極める5つのポイントとは?

クリニックの看護師求人を見極める5つのポイント
クリニックの看護師求人を見極める5つのポイント
      ①クリニックの診療科目
      ②クリニックの診療方針
      ③クリニックの評判
      ④勤務条件
      ⑤院長やスタッフとの相性

①クリニックの診療科目

時代によって人気の診療科目が変わります。

後のキャリアのことも考えて、転職を希望するクリニックを選ぶようにしましょう。

診療科によっては自分が患者さんとして行ってみるのもよいかもしれません。

②クリニックの診療方針

クリニックの診療方針はホームページの情報から診療方針が分かることがあります。

分からない場合は、看護師転職サイト掲載または紹介の求人ならキャリアアドバイザーに聞くとよいでしょう。

③クリニックの評判

クリニックの評判は、実際にクリニックに通っている知人に聞いたり、インターネットで検索したりしましょう。

患者さん側からみたクリニックの評判を知ることで、病院の雰囲気がイメージできます。

実際に働くことになったときにも役立つこともあるでしょう。

④勤務条件

1.就業時間、残業手当の有無
診察終了時間が終業時間だと思われがちですが、診療後の片付けや清掃などがあるため、診療終了の時間が退勤時間ではありません。
実際の勤務時間は、何時から何時までかをきちんと確認しましょう。
また、残業になった場合、残業手当が支給されるのかは必ず確認してください。

2.社会保険
クリニックは従業員の数が少ないため、病院などに比べて社会保険は充実していないことがあります。
従業員が5人未満の場合、クリニック側に健康保険と厚生年金への加入義務がないため、健康保険や厚生年金などに加入しているのかなど、あらかじめ確認しておきましょう。

3.産休・育休制度について
クリニックでは、少人数で仕事を分担しているため、産休・育休をとりづらい傾向があります。
今後、産休の取得を考えている人は、産休・育休の取得実績があるかを確認してみましょう。

4.ブランクOKについて
クリニックでは、ブランクがある看護師も働きやすいのですが、ブランクOKは「即戦力じゃなくてもOK」という意味ではありませんので注意が必要です。
もし、ブランクがある状態でクリニックに応募するときは、これまでの経験やブランク年数などをきちんと伝えて、ミスマッチが起きないようにしましょう。

⑤院長やスタッフとの相性

先ほどデメリットとして説明しましたが、クリニックで働く場合は、院長やスタッフとの相性がとても重要です。

面接のわずかな時間だけで相性を確認するのは難しいと思います。

そこでおすすめなのが、「病院見学」です。

気になるクリニックに直接問い合わせれば対応じてもらえると思いますが、もし頼みにくい場合は看護師転職サイト(看護師専門の紹介会社)に依頼するとよいでしょう。

病院見学をすると、院長やスタッフの日常的な仕事の様子を見ることができるので、自分がそこで働いた時のイメージができます。

求人を探すときのポイントをお伝えしましたが、クリニック看護師の求人は、病院と比べると数が少ないため、求人を見つけたとしても、応募が殺到してすぐに締切になってしまうなんてこともあります。

したがって、新しい求人情報をいちはやく入手することが非常に重要です。

いち早く求人情報を得るためには、看護師専門の紹介会社の運営する看護師転職サイトに登録するとよいでしょう。

クリニックへの転職時に検討の必要な職場の雰囲気、人間関係なども確認できます。

看護師転職サイトのおすすめ

新規オープンのクリニックの看護師求人は人気

新規開院のクリニック求人

個人開業医による医療機関であるクリニックや診療所は、看護師が病院勤務から転職先に考える一番の候補です。

なぜこれらの個人医療機関が人気なのかというと、病床がないところを選ぶことにより夜勤がなく、日勤だけでの勤務で済むからです。

中でも看護師に人気のあるクリニック求人の条件として、新規オープンでクリニックや診療所の建物そのものが真新しくて清潔であることが挙げられます。

当然のことながら院内の設備も最新のものを採り入れているため、仕事がしやすいところも人気の理由です。

同じ仕事をするのなら、長年開院していて、建物も設備も老朽化してしまっているところより、新しいところの方がいい気分になれて前向きに仕事に取り組めます。

新規オープンのクリニックに人気が集まる理由のもう一つ大きな要素は、新しく開業する医師は年齢が若いということです。

年齢を重ねた医師のなかには、診察してあげているという意識を持っている人が少なくなく、高齢の患者との衝突が起こることもしばしばです。

こうした医師は、求人募集で採用したスタッフに対しても雇ってあげているという意識でいることが多いため、スタッフの意見を採り入れることなく独善的な診療所運営を行いがちです。

今や医療はサービス業に分類される時代ですので、医師の考え方にも変化が求められています。

確かに診察をするのは医師ですが、患者さんが来院しなくては知識も技術も発揮することはできないわけで、その意味ではお互いに尊重しあって接することが大事です。

若い世代の医師はそのことを分かっていますので、患者さんに丁寧に接するとともに、スタッフにも横柄な態度を取ることが少ないのが、新規オープンの求人が看護師に人気がある大きな理由と言えます。

規模の大きな病院で病棟勤務をしていた看護師であれば、座る暇もないほど病棟内を忙しく駆け回る毎日を過ごしていたことでしょう。

それが病床のないクリニック勤務になると、全てとは言わないまでも、かなり仕事の進め方やスピードが変わってしまい、最初は戸惑うこともあると考えられます。

とはいえ夜勤がなく、診療時間がはっきりしていて休日も固定されているとなれば、生活のリズムがつかみやすくなって体力的にはかなり楽になるといえるでしょう。

より楽に仕事がしたいという看護師なら、眼科や皮膚科といった比較的患者数が少なく人気の診療科が適しています。

一方、これまでバリバリ仕事をこなしてきたから、ある程度は仕事がないと、ぼんやりしているのは逆につらいという看護師であれば、患者数が最も多い内科を標榜するクリニック・診療所が適しているでしょう。

医師による診察の介助から、注射や処置、検査のための準備に薬の用意といった看護業務を行う他、書類を作るといった事務的な作業もある程度発生しますので、やることはかなりあるからです。

ただ、これらの仕事も新しいクリニックではよりスムーズに行える設備が整っていることから、新規オープンのクリニックは人気の求人となります。

クリニックに転職した看護師の体験談

クリニックに転職した看護師の体験談

総合病院からクリニックに転職

(えりのさん、20代後半・女性、北海道)
北海道岩見沢市のクリニックに看護師として勤めています。施設形態としては無床なので診療所になります。
雇用形態は最初はフルタイムパートとして雇われましたが、4ヶ月ほど経った頃に、正社員にならないか持ちかけられ、正社員として働かせていただいています。
年収は、夜勤なし、残業ほぼなしで300万円ほどです。
ボーナス1ヶ月ほどなので、少し少なめです。ただ、結婚してから家庭第一になったので、このワークライフバランスで満足しております。
私が看護職についた理由はもともと親から看護師は安定しているよ、と子供の頃から教えられてきたからです。それから大学に入って国家資格を取得しました。
どう転んでも必ず職がある、という安心感を得られたのでとてもよかったと思っています。現在までの転職回数は1回になります。最初は、総合病院で勤めていました。
結婚を機に、引っ越すことになり、転職をしました。
また、総合病院での勤務は夜勤も多く身体的にもきつかったし、人間関係も良いものではなかったので、転職は自分にとって良かったです。
私が目指す看護師像はミスのない、患者に優しい看護師です。
転職経験からは、まず自分の求める条件で探し、妥協しないこと、見学時は働くことを前提にして見学することが大切だと学びました。
妥協したところで続かないからです。
面接時は自分から質問することで意欲的に働けると見てもらうことができると思うので実践していました。
転職のアドバイスとしては転職時は妥協せず、自分の条件を大切にじっくり探してほしいと思います。
看護師転職サイトのおすすめ

『クリニックの看護師の転職・復職事情』のまとめ

クリニックの看護師の転職・復職事情のまとめ
  • 全国にクリニックは10万2千施設あり、クリニック看護師は病院看護師の次に多い。
  • クリニックの看護師の仕事内容は診療補助・看護業務の他に看護業務以外の雑務がある。
  • クリニック看護師のメリットは日勤で休みが取れブランクありでも働けること。
  • クリニック看護師のデメリットは給料が下がり、長期休暇が取りにくく、雑務が増えること。
  • クリニック看護師への転職は病院で3年以上勤務した後がおすすめ。
【参考・出典データ元】

※1
『衛生行政報告例の概要』(厚生労働省)

※2
『医療施設動態調査(令和元年11月末概数)』(厚生労働省)

※3
『コンビニエンスストア統計データ』(一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会)

※4
『令和元年賃金構造基本統計調査』(厚生労働省)

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