ドラッグストアの状況と薬剤師求人
薬剤師の転職先として、調剤薬局の次に多いのがドラッグストア(調剤併設・OTCのみ)です。
2020年以降の新型コロナ拡大によって、ドラッグストアにも急激な施政策転換が促されました。
インバウンド客がいなくなり、都市部では化粧品や医薬品の需要が激減する一方、郊外店ではマスク・消毒駅などのコロナ対策商材や食品・日曜雑貨などの生活必需品が飛ぶように売れました。
同じドラッグストアでもその経営方針の違いで、好不調が分かれた業界といってもよいでしょう。
インバウンド客狙いだったダイコクでは、コロナ前にあった(全国札幌から沖縄の)180店舗を98店舗に削減し、コスモス薬品、ツルハホールディングス、サンドラホールディングスも8〜10店舗を閉店しました。
2019年の実績から2020年の見通しを比べた時に、売上・当期純利益ともに減少したのは、マツモトキヨシHD、ココカラファイン、売上高がアップし、当期純利益が減少したのは、ツルハHD、スギHD、クリエイトSDHD 、クスリのアオキHD、サツドラHDです。
しかし、他の産業と比較すれば全体的に好調といえます。
現在でも薬剤師の採用にも積極的なドラッグストアは多いです。
2020年好調だったドラッグストアは?
ドラッグストア業界の中で絶好調なのは、九州地盤のコスモス薬品、福井県、石川県、愛知県、岐阜県が地盤のゲンキー、東北が地盤の薬王堂です。
これらのドラッグストアは便利性重視で、食品を中心とした生活用品を多く取り揃えています。
JACDS(日本チェーンドラッグストア協会)によると、ドラッグストアの2019年度の市場規模は前年比5.7%増の7兆6,859億円でしたが、その成長を支えたのは、調剤、インバウンド、食品でした。
利便性重視の安売りドラッグ店が功を奏したのは、コロナ禍でスーパーを避け、より身近な生活密着型のドラッグストアの利用が増えたからだといえるでしょう。
大手のドラッグストアの薬剤師求人状況
ドラッグストアの全体的な売り上げはコロナ禍においても安定しています。
したがって、求人が大きく減る可能性は低く、常に薬剤師求人はある状態です。
ウエルシアHDの求人
ウエルシアHDは登録販売者を活用し、ヘルスケア売り場を刷新してきました。
さらに2019年3月より、大規模な機構改革を実施し、本部一極集中体制から支社制を導入。
関東を北と南、群馬・栃木・茨城二東北エリア担当の東日本支社、長野・山梨・北陸三県・新潟に中日本支社、名古屋に東海支社、大阪を本拠に西日本支社の6支社を設置しました。
薬剤師の仕事の処方箋において、機械化を推進中です。
薬剤師の新しい働き方を見せて、優秀な薬剤師を採用する気は十分あります。
薬剤師の口コミで、給与、年収の満足度の高い企業としてもトップクラス(※1)です。
ツルハHDの求人
そのため、2021年前期は北海道、東北地区を中心に270店に生鮮食品を導入する計画です。
しかし、食品の品揃えはお客の利便性の範囲に留めて、ヘルス&ビューティー主体の路線は継続します。
現在、調剤併設率はグルーウ全体で30%弱。
しかし、調剤のみの門前薬局は衰退し、代わりに日常品を備えた調剤併設はお客にとって利便性がよいと支持があるため、調剤併設をグループ全体でやりたいという意向を持っています。
新店においては調剤をやるやらないに関わらず、調剤室を準備し、実施しており、薬剤師の求人、採用にも積極的です。
コスモス薬品の求人
キャッシュレス化の遅れが懸念材料ですが、2020年5月期で売上高6,844億円、営業利益290億円で過去最高を達成しました。
コロナ禍でも郊外店の食品、日用品がワンストップで購入できる便利さからお客の支持を得ています。
注目される調剤事業は、現在、東京、神奈川、兵庫の都市型6店舗と郊外型は福岡市、名古屋市で実験中です。
2021年はさらに医療モールの開業や調剤薬局併設の予定があり、着実にノウハウを積み上げています。
薬剤師の活躍する場は整えられている状況です。
サンドラッグの求人
通気の売上高はドラッグストアが4,202億円(前年同期比1.2%減)、ディスカウント事業が2,570億円(同11.7%増)でした。
ドラッグストアに関しては単独、併設ともに調剤薬局の出店を強化していく予定です。
したがって、今後サンドラッグの薬剤師求人も増えるでしょう。
マツモトキヨシHDの求人
売上の12%を占めていたインバウンドがなくなっても35店舗を出店、14店舗は閉店しましたが、アフターコロナに備え、インバウンド対応店は閉店していません。
2021年10月のココカラファインとの経営統合に向けて準備も進めています。
薬剤師の求人に関わる事業では、PB開発で薬剤師、管理栄養士、ビューティースペシャリストによる美容と健康の商品・サービス機能を強化した「マツキヨラボ」の出店を強化する予定です。
また調剤事業の拡大にも注力し、今上期の調剤店舗数は15店舗増え、327点に増えました。
調剤薬局への薬剤師派遣、育成を行う「調剤サポートプログラム」の提供先も102店舗に拡大し、今後も増やしていく予定です。
スギHDの求人
調剤事業においてもオンライン調剤に対応したアプリ「kakari(カカリ)」を導入しており、処方箋データの送信、薬ができた時の通知、薬剤師による相談機能を装備しています。
9月からは処方後の服薬フォローにも対応していることから、調剤事業の固定客化につながるため利用拡大に注力しています。
M&Aも積極的に進めていく予定で、薬剤師の採用についても前向きです。
ココカラファインの求人
MDの見直しで苦戦していた都市型店も回復基調にあります。
調剤事業では「健康サポート薬局」の取り組みに力を入れており、2020年9月末時点で拠点数は56店舗まで拡大。
かかりつけ薬剤師の質の向上にも取り組んでいます。
また兵庫県を中心とする関西エリアで調剤薬局、ドラッグストアを70店舗展開するフタツカホールディングスの全株式を取得し、関西地エリアでの拡大を加速する予定です。
薬剤師求人も必然的に増加するでしょう。
クリエイトSDHDの求人
ビューティー特化のCremo(クレモ)の出店に関しては償却的なものの、今季はドラッグストア43店舗、調剤薬局35店舗の出店を計画しています。
特に調剤薬局は計画を上回る可能性があり、2020年5月の調剤併設率31.4%、今期で34.4%にまで高め、5年以上50%に達成したいと考えています。
目標を達成するために物販の薬剤師を調剤に移行し、併設率を高める計画です。
地域医療連携薬局は、かかりつけ薬剤師を前期比30名増の120名、在宅医療対応店舗を7店舗増の142店舗、地域支援体制加算算定店舗を34店舗増の110店舗に引き上げる予定です。
クリエイトSDHDにおける薬剤師の役割はますまず重要になるでしょう。
クスリのアオキHDの求人
高速出店、積極的な販売促進から方針転換をはかる予定だが、特に北陸エリアではゲンキー、Vドラッグ、スギ薬局、コスモス薬品に押され停滞気味。
今後は生鮮強化に取り組み、スーパーを相次いで買収しています。
薬剤師需要は特に変わらずといったところです。
カウチ薬品の求人
特にクスリのアオキ、九州地盤のコスモス薬品の進出により、カウチ薬品ならではの強み、独自性が薄れつつあります。
今後、既存店への調剤併設を推進する予定があります。
薬剤師の給与の高さにおいてはトップクラスの企業です。
上記のほか、中部薬品(岐阜県)やキリン堂HD(大阪府)、ゲンキー(福井県)、薬王堂(岩手県)、サツドラHD(北海道)など2~400店舗以上の中堅どころのドラッグストアが独自の戦略で各地で店舗展開しており、今後も薬剤師のドラッグストア求人は増える傾向にあります。
ドラッグストアの薬剤師の年収(給与)は?
ドラッグストアの薬剤師の年収は高く平均すると約550万円です。
調剤薬局が500~530万円、病院が460~490万円、企業が500~540万円であることを考えると高いことが分かります。
給与が良い理由は、調剤業務以外の業務があることや土日夜間の営業があることで勤務時間が長くなることです。
ドラッグストアの薬剤師の仕事のメリット・デメリット
ドラッグストアの薬剤師のメリットは①給与が良い、②お客との距離が近い、③店舗経営のノウハウが身に付く、④平日休みがとりやすい等があげられるでしょう。
逆にデメリットとしては①調剤以外の業務がある、②勤務時間が長い、③土日祝日に休みを取りにくい等があげられます。