男性看護師の抱える転職や仕事の悩みとは?
男性看護師の数は年々増え続けており、2018年の時点では、9万5155人で看護師全体の7.8%(※1)を占めています。
2008年の時点では、4万4884人であったことから、人数では2倍以上、割合でも約1.5倍に増えました。
欧米では軒並み10%以上を占めている男性看護師はこれからも増えていくことは間違いありません。
男性看護師の転職事情(解説動画)
しかし、男性看護師は少数派ですし、男性ならではの悩みもあります。
転職、仕事、人間関係、給料、キャリアアップ・・・など、女性と違う男性ならではの悩みです。
このページでは、転職をはじめ様々な男性看護師の抱える悩みを解消する方法をお伝えします。
男性看護師の転職事情、クリニックへの転職は難しい?
男性看護師が増えているからといっても、看護師全体の8%程度です。
実際の転職の場では女性の応募が通常であり、あえて男性看護師を雇用する病院・クリニックは少数派と言えます。
特に街のクリニック、美容クリニックなど診療科目によっては、男性看護師の入職を考えていないことが多いです。
これらの職場では、男性スタッフのための設備が整っていなかったり、女性の患者さんが多いため、男性看護師に対して抵抗感を持つ人が多くいます。
そういった意味では健診センターも同じです。
正看護師求人では、法律上、男女を区別することは禁止されているため、応募を拒むことはできませんが、面接時には選別されてしまいます。
したがって、転職においても男性看護師を雇うかどうかは、病院、クリニックの規模や方針、診療科目によるところが大きいです。
たとえば、クリニックに転職したい場合、男性看護師がいるかどうかが一つの目安になります。
男性看護師が増えていることからも分かるように、決して需要がないわけではありません。
介護施設、精神科病棟などでは男性看護師が求められていることが多いです。
転職活動の際は、女性看護師とは違い、働く職場が限られていることを意識した方がよいでしょう。
男性看護師の転職体験談
自分がやりたい看護が出来る診療科に行くべき
(Pさん、男性/40代前半/京都府)
男性看護師の悩みとメリット
男性看護師の大きな悩みは、女性が多い職場での人間関係の難しさを感じたり、女性の患者さんへのケアに配慮が必要になったりする悩みです。
もともと女性しかいなかった職業なので、男性看護師が働きにくさを感じることが多くなります。
しかし、男性看護師ならではのメリットもあります。
たとえば、以下のようなメリットです。
- 常勤で働き続ける人が多いので、キャリアアップしやすい
- 女性の看護師や患者さんから頼りにされる
- 収入が安定している
男性看護師のメリット3つについて
男性看護師がキャリアアップしやすい理由は、常勤で働き続ける人が多く、継続したキャリアを築きやすいからです。
もし今悩みを抱えている男性看護師の人は男性看護師ならではのメリットを活かすとよいでしょう。
そして男性看護師の悩みに対する解決策、男性看護師ならではのメリットについて解説します。
男性看護師の大きな悩みは、女性の患者さんへの配慮と職場の人間関係です。
・女性の患者さんに配慮することで仕事の範囲が限定されること
・女性が多い職場での人間関係
1.女性の患者さんに配慮することで仕事の範囲が限定される
男性看護師のうち、女性の患者さんからケアを拒否された経験がある人は78.7%もいる(「よくある」16.1%、「時々ある」62.6%)そうです。
(参考:『看護における性差および女性患者・女性看護師との関わりに関する男性看護師の認識と実際』より)
特に全身清拭、入浴介助、排泄介など看護師としてよくある業務をスムーズに行えない場合が多くあります。
そのため多くの医療機関で、男女性別により病棟での配置を配慮しているケースは多いです。
その場合、女性患者が不快や嫌悪感を抱くと考えられるケアに関しては女性看護師が行うことになっています。
看護師として、日常のケアをしっかり行いたいという気持ちを持っている男性看護師も多いとは思いますが、羞恥心を伴うケアに対しては、高齢者であっても女性の患者さんには男性看護師でも良いのか?女性看護師に代わった方がよいのか?、お声がけをすることが大切です。
2.女性が多い職場での人間関係
「女性看護師と仕事上の関係づくりにおける苦慮経験」で「ある」答えた男性看護師は42.8%でした。
(参考:『看護における性差および女性患者・女性看護師との関わりに関する男性看護師の認識と実際』より)
・女性と男性の考え方の違いから意見が合わない
・根拠もなく「男だから」と言われる
・休憩中に居場所がない(孤独を感じる)
・仕事を頼みにくい
・指導がセクハラととられないか気を遣う
・私生活のことを聞かれる
これらに関する解決策はこちらをクリック
3.収入が安定している
全職種と比較すると、決して特別に高いとはいえない男性看護師の収入ですが、景気に左右されやすいサラリーマンの収入と違い安定しています。
また看護師という職業柄、贅沢を言わなければ就職先に困ることはありません。
そして男性は正職員(フルタイム勤務)で長く働く人が多く、管理職に就く割合も高くなってきます。
収入面、職業面からみても安定しているといえるでしょう。
男性看護師が職場での悩みを解消するポイント5つ
男性看護師の人は、以下の5つのポイントをチェックしましょう。
1.女性の特性を理解する
男性看護師なら知っている人が多いと思いますが、女性には毎月数日の生理期間があり、ホルモンバランスが変化します。
そして、生理がはじまる3日~10日前になると「PMS(月経前症候群)」といわれる不快な症状に悩まされる人が多いんです。
PMSになった女性は、イライラしやすくなって攻撃的になったり、腰痛などの症状が出たりします。
個人差はありますが、女性にはそういう時期があるんだなと理解しておくと、同僚と良好な関係を築きやすいです。
2.身だしなみに気をつける
清潔感がない人は、女性の同僚から嫌がられてしまう可能性があります。
おしゃれにこだわる必要はないですが、体臭や口臭がしないように心がけてください。
3.職場のリーダーと良好な関係を築く
どんな職場にも、職場の人間関係の中心となっているリーダーがいます。
円満に働くためには、そのリーダーと良好な人間関係を築くことが重要なんです。
ちなみに、リーダーは役職が上の人物とは限りませんので、職場の人間関係を観察して、誰がリーダーなのかを見極める必要があります。
4.誰に対してもわけ隔てなく接する
女性は周囲の人の行動をよく観察しています。
そのため、男性看護師が若い人や美人にだけ優しく対応していると、女性はすぐに気づきます。
職場では女性を異性として意識しすぎないように注意して、誰に対してもわけ隔てない態度で接しましょう。
5.噂話や悪口に深入りしない
女性は噂話が好きな人が多いので、休憩時間に職場の人の噂話や悪口などで盛り上がることがあります。
あなたがその場にいた場合、「〇〇さんはどう思う?」などと、話題を振られてしまうかもしれません。
そこでなんとなく話を合わせてしまうと、あとで「〇〇さんが悪口を言ってた」などとウワサされて、困った立場に立たされてしまう可能性があります・・・!
そのため、噂話や悪口には深入りせずに、さりげなく席を立ったり別の話題をふったりすることをオススメします。
このポイントを教えてくれた男性看護師の人は、「このポイントを心がけるようになってから職場の人間関係がよくなった」と話していました。
5つのポイントをおさえて、よい人間関係を築いてください。
男性看護師と相性の良い職場とは?
男性看護師に向いている職場、向いていない職場です。
やはり男性ならではの特性を活かせる職場では重宝されますし、男性看護師の割合も高くなります。
逆に女性の患者さんの羞恥心を伴う業務、職務が多い職場では、男性看護師は働くことが難しいです。
男性看護師に向いている診療科、職場
最も向いている診療科、職場 | 手術室、ICU、CCU、救急救命センター、精神科、泌尿器科、人工透析内科、脳神経外科、神経内科、整形外科、リハビリテーション科、その他男性特有の悩みを治療する診療科 |
向いている診療科、職場 | 一般病棟、老健施設、外科 |
男性看護師に向いていない診療科、職場
向いていない診療科、職場 | 産科・婦人科、訪問入浴(女性の)、添乗看護師(ツアーナース) |
男性看護師の給料と結婚について
男性看護師の平均年収は、496万800円(平均年齢36.0歳)で、女性看護師の481万3600円(平均年齢39.9歳)(※2)と比較すると、やや高くなっています。
男性は継続して勤務する人が多いこと、勤務先が大きいケースが多いこと、家族を抱え家族手当が付く人が多いこと、キャリアアップを目指す人が多いこと、などが女性看護師より平均給与の高い理由です。
そんな男性看護師は、やはり同じ職業の看護師と結婚する確率は高いようです。
『医師・看護師の婚姻状況』(※3)によると、初婚年齢は平均で28.8歳。
女性看護師の平均年齢30.4歳より早く結婚しています。
調査によって異なりますが、共通しているのは、看護師の未婚率は他の職業と比較すると高くなっていることです。
30代でもほぼ半数が未婚(※4)になっています。
勤務時間の長さや交代制なども影響していますが、男性看護師の場合、結婚に積極的になることが必要かもしれません。
男性看護師のキャリアアップについて
男性看護師は、意欲と向上心を持つ人が多くいます。
看護部長、看護師長など管理職を目指したり、残念ながら助産師資格を取れないものの、専門看護師・認定看護師の資格を取得する人が多い印象です。
男性看護師は少数派のため、つながりが求められています。
そして、男性看護師の横のつながりを強化する動きも進んでいます。
三重県は2012年に「男性看護師会」をスタートさせ、2014年には「全国男性看護師会」へと発展させました。
同じく2014年には一般社団法人「日本男性看護師会」が発足しています。
『男性看護師の転職事情と仕事の悩み』のまとめ
- 男性看護師の数は9万5155人(2018年)で看護師全体の7.8%を占めている。
- 男性看護師の悩みは女性の多い職場での人間関係と女性の患者さんへの対応が多い。
- 男性看護師にはクリニック、健診センター、産科・婦人科、(女性の)訪問入浴、添乗看護師など向かない職場がある。
- 男性看護師は救急救命センター、ICU、精神科、泌尿器科、リハビリテーション科などにニーズがある。
- 男性看護師の平均年収は496万800円で、女性看護師より高いのは、継続勤務とキャリアアップ志向のおかげ。
『平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)』(厚生労働省)
※2.
『令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況』(厚生労働省)
※3.
『医師・看護師の婚姻状況』(北海道医療大学看護福祉学部紀要 西 基)
※4.
『2017年 看護職員実態調査』(日本看護協会 医療政策部編)
勤務場所は京都府の田舎の総合病院です。
正職員になって7年目ですが、年収は450万円程です。
この年収で妻子を養い、マイホームのローンも抱えています。
幸い、奥さんも看護師なので、極度の貧乏生活という訳ではありません。
職場は、2交代性で、夜勤明けとその翌日は必ず休日になっているので、ライフスタイルは、日勤、夜勤、休日のサイクルです。
私は30代まで他の職場を転々とし、正社員としての仕事の幅が狭まってきた頃に、看護助手として病院に入職をしました。
そこで、まだ若いのだから看護学校に入学をする様に当時の看護師長に勧められたのが、看護師になった理由です。
看護師になってからも、元来の転職癖が離れず、今まで、施設を3箇所、病院も3箇所の合計6回も転職をしています。
転職理由は、全てが人間関係です。
何処に行っても必ず嫌な看護師がいて、目の敵の様にされて衝突、そして退職を繰り返していました。
特に施設は長くても半年しか勤める事が出来ませんでした。
そこで、もう一度、自分がなりたい看護師像、患者さんの気持ちを汲み取り、傾聴が出来る看護師になりたいと思い、新卒の気持ちで今の総合病院に勤めました。
転職は繰り返すと辞めグセがついてしまい、すぐに退職をしたい気持ちが強まるので、まずは3年は我慢をするべきだと思います。
転職経験で得た事は、色んな人間がいる事と、何処に行っても人間関係は対して変わらないということです。
これから転職を考えている方は、本当に自分がやりたい看護が出来る診療科に行くべきです。