看護師と准看護師の違いと准看護師の求人事情
看護師と准看護師の違いと准看護師の求人事情を1分余りの動画で解説しています。
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正看護師と准看護師の違いはいろいろありますが、主に3つの違いがあります。
①正看護師は、国家資格(厚生労働大臣)なのに対し、准看護師は都道府県知事資格です。
②正看護師に必要な学歴は高校卒業ですが、准看護師は中学卒業でなれます。
③保健師助産師看護師法によれば、看護師は「傷病者もしくはじょく婦の療養上の世話、または診療の補助を行う」と定められているのに対し、准看護師は「医師、歯科医師または看護師の指示を受けて、傷病者もしくはじょく婦の療養上の世話、または診療の補助を行う」と定められています。
つまり、准看護師は医師や看護師の指示を受けて仕事をする必要があるので、主体的に仕事ができません。
責任という意味では正看護師よりも軽いといえるでしょう。
ただし、責任の所在が准看護師にない分、給与や昇進に関して差があります。
准看護師の求人事情
准看護師の有効求人倍率は看護師のそれを下回っており、看護師ほど希望通りの就職、転職ができるというわけではありません。
実際に准看護師の勤務場所は、病院(38.2%)、診療所(32.2%)、介護保険施設等(23.2%)の順に多くなっています(※1)。
看護師と比較すると、明らかに診療所や介護保険施設等で働く割合が高いです。
病院に比べて一部の診療所、クリニックでは正看護師に比べて給与の安い准看護師は重宝される傾向があります。
人件費が安いという面からも診療所や介護施設での准看護師の求人が多いのです。
准看護師から正看護師になる方法とは
准看護師から看護師になるには、3つの方法があります。
①全日制の看護専門学校(2年) | 要件:中卒の場合、3年以上の実務経験 |
②定時制の看護専門学校(3年) | 要件:中卒の場合、3年以上の実務経験 |
③通信制の看護専門学校(2年) | 要件:実務経験7年以上要 |
准看護師から看護師を目指すよりも、初めから看護師を目指す方が時間はかかりません。
減少傾向にある准看護師
過去には准看護師養成学校に行くと授業料免除や奨学金を貰えたうえ、学校の系列の病院に入れて、すぐに収入を得ることができることもあり、准看護師が人気だった時代もありました。
しかし、現在では看護師の高学歴化やはじめから看護師を目指す学生が多いため、准看護師は減少傾向にあります。
統計データ(※2)では准看護師は304,479人(男性21,777人、女性282,702人)で、2年前よりも18,632人減っています。
気になる准看護師の年収と昇給は?
准看護師の年収は一般的に看護師よりも低くなっています。
厚生労働省の資料(※3)によると、准看護師の平均年収は約405万円です。
看護師の平均年収が、479.9万円なので、約75万の差があります。
月に換算すると6万2,500円の差です。
雇用形態別で看護師と比べても看護師の正規雇用が正規雇用が82.2%であるのに対し、准看護師では70.6%と少なく、非正規雇用は看護師の17.5%に対し、准看護師は29.1%と3割弱と多くなっています(※2)。
看護師であれば5年から10年経てば主任等の役職について昇給する道もありますが、准看護師のままでは役職を得ることが難しく、昇給もなかなか進まないという状況になりやすいです。
このように准看護師が正看護師と同じ仕事量をこなしても給与が安い、昇進が難しいという事情を鑑みて、日本看護協会は看護職の地位と専門性の向上のため、准看護師制度を廃止して、看護師養成への一本化を目指しています(※4)。
その一方で、看護師養成への一本化に関しては、日本医師会が慎重論を唱えているという現状もあるのです。
准看護師のメリット、デメリットは?准看護師にインタビューしました
准看護師のメリット・デメリット(良いところ、悪いところ)を実際に働いている(または働いていた)准看護師さんに聞いてみたリアルな口コミ体験談です。
准看護師は給料と求人募集で看護師と差がある
(Hさん、東京都・女性・40代前半)
関わる時間は長くなくても、接する事で安心したりホッとできる存在でありたいです 。
正看護師さんより勉強はすくないので、日々勉強していきたいと思います。
優しい人が向いていると思います。
正看護師との業務の幅や待遇に差がある准看護師
(ピアノさん、福島県・女性・40代前半)
准看護師(看護師):15年以上20年未満
最初の勤務先(新卒時):一般病院・総合病院
転職の経験:3回
准看護師としての年収(転職による年収の変化含む):320万円→330万円→360万円
准看護師として出来ること、仕事での内容などを精一杯やりたいです。
准看護師というくくりではなく、気持ちの優しい人、人の傷みが本当に分かる人、人柄が良い人たちになって貰いたいです。
准看護師は自分の業務に集中できる
(Tさん、岡山県・男性・30代前半)
准看護師(看護師):3年以上4年未満
最初の勤務先(新卒時):一般病院・総合病院
転職の経験:1回
准看護師としての年収(転職による年収の変化含む):300万円→320万円
商社のように業務にライバル意識が働くということもないので、あくまで自分の業務を仕上げるということに集中できてよいと思います。
患者さんからの感謝の言葉を現場ですぐにもらえるのはモチベーションアップにつながって良いです。
看護師がスムーズに動けるよう、下準備を行い、申し送りもしっかりしないといけません。
業務のいわゆる「ホウレンソウ」がしっかり出来る人に向く仕事です。
准看護師は就職に困らないことがメリット、ストレスがたまることがデメリット
(Kさん、香川県・女性・40代後半)
准看護師(看護師):21年以上
最初の勤務先(新卒時):一般病院・総合病院
転職の経験:なし
准看護師としての年収(転職による年収の変化含む):330万円→350万円
これからの時代は、やっぱり資格があることが一番だと思っています。
長く働くことができるので、そのことから資格を取得しました。
取得することにより、自分に自信を付けることができると感じました。
ほかの仕事の場合は、そんなふうに考えることができません。
そのストレスが強くなると、辞めたいと思うことがあります。
正看護師と准看護師の給料の差が違うのが驚き
(Hさん、大分県・男性・20代前半)
准看護師(看護師):1~2年
最初の勤務先(新卒時):一般病院・総合病院
転職の経験:1回
准看護師としての年収(転職による年収の変化含む):300万円→350万円
その学校は看護師試験と一緒に准看護師の試験も受ける学校でした。
看護師試験に一度落ちてしまったけど准看護師試験には受かったので、看護師試験に受かるまでの1年間、准看護師として働いていました。
准看護師として働いてから、看護師の試験を受けた為、現場の事がよく分かって疾患などが頭に入りやすかったです。
看護師の中には、所詮は准看護師だからねっていう雰囲気の圧をかけてくる人がいる。
注射を打つのもお薬飲ませるのも同じ事をするのに准看護師というだけでお給料が何万か違うのはとても驚きました。
自ら希望してなりたかった看護師になれた事には変わりはないので准看護師だから。っと気を落とさず自信を持って過ごして欲しいです。
高齢者が好き、人のお世話が好き、1番近くで大事な生命に携わりたい人、等たくさんの人に向いている職業だと思います。
『看護師と准看護師の違いと准看護師の求人事情」のまとめ
- 看護師は国家資格、准看護師は都道府県知事である。
- 看護師は療養上の世話、または診療の補助など主体的に仕事ができるのに対し、准看護師は医師や看護師の指示を受けないと仕事ができない。
- 看護師と准看護師には給与、昇進、待遇などで差がある。
- 准看護師の求人は診療所・クリニック、介護保険施設の割合が高い。
- 給与では看護師と准看護師に月平均で6万2,500円の差があり、准看護師は昇進・昇給が難しい。
- 准看護師から正看護師になるには、全日制、定時制、通信制の看護専門学校に通う必要がある。
※1.『平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』(厚生労働省)
※2.『平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』結果の概要(厚生労働省)
※3.『平成30年賃金構造基本統計調査』(厚生労働省)
※4.『看護職を目指す方へ』(公益社団法人日本看護協会)
准看護師(看護師):21年以上
最初の勤務先(新卒時):一般病院・総合病院
転職の経験:4回
准看護師としての年収(転職による年収の変化含む):月15万→30万円