医師の転職事情【最新】

医師の転職事情

医師の求人状況と今後の予測

2021年10月までの最新の医師の転職状況は、新型コロナウイルスの影響を受け、やや控えめになっています。

コロナ禍において、医師のバイトに関しては、バブルといってもよい程、医師不足でしたが、正規雇用に関しては落ち着いています。

厚生労働省が毎月1回公表している『一般職業紹介状況(令和3年8月分)について(令和3年10月1日)』(常用(含パート))によると、「医師、薬剤師等」の有効求人倍率は1.88倍でした。

『一般職業紹介状況(令和3年6月分)について(令和3年7月30日)』(常用(含パート))によると、「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」の有効倍率は0.95倍でした。

コロナ禍以前の同調査で、2020年1月は3.61倍であったことを鑑みると、相当下がっていることが分かります。

こうした状況下でも現状は医師不足が続いており、特に地方で医師が足りない状況で、相変わらず医師の「地域偏在」の問題は解消していません。

また診療科によっても医師の需給は大きく変わってきます。

全体として現在過剰気味の診療科として、皮膚科、耳鼻咽喉科、精神科、眼科が挙げられますが、眼科は開業医として報酬、利益率も高いです。

ただし、今後は開業医として人気のこれらの診療科の競争も激しくなるため、開業予定だった勤務医が開業せず他の病院に転職するケース、もしくは開業医から安定している勤務医への転職が増えていくでしょう。

医師の転職市場もそれに伴い活性化し、医師転職サイト、医師転職エージェントの存在価値が高まってくることは予想されます。

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コロナ禍での病院経営危機

コロナ禍の病院経営の悪化が大きく影響しているのは間違いありません。

日本病院会(日病)、全日本病院協会(全日病)、日本医療法人協会(医法協)の3団体が2020年8月6日に『新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況の調査(2020年度第1四半期)』を公表しました。

3病院団体の調査によるとコロナ禍で外来患者の減少、救急搬送の減少なども生じており、全国で27.2%の病院が夏季賞与の減額、0.8%の病院が不支給という選択をしています。

2021年4月の「東京女子医大で医師100人超が退職」問題、2020年7月の「東京女子医科大学(東京都新宿区)の看護師の大量退職」問題、同年9月の「学費の1200万円値上げ」問題はコロナ禍での病院経営悪化の象徴といえるでしょう。

都市部の診療所・クリニックも経営危機

大学病院、総合病院だけでなく、開業医にも新型コロナの影響は大きいです。

特に都心部、東京駅、新宿駅、渋谷駅等の周辺部、地方の都市部で患者数の減少が目立ちました。

昼間人口と夜間人口の差が大きく、医師過剰気味の高額所得者が住む地域です。

患者は戻りつつありますが、コロナ以前の状況には戻っていません。

医師の働き方の変化と転職

医師の勤務先(内訳)

勤務医
病院の勤務医は約32万人いる医師で一番多く、約4分の3を占めます。
2003年度の研修医制度改革により、若手の大学離れが進み、現在も転職の中心です。

フリーランス医師
数千万円を稼ぐ医師からバイトだけで生計を立てているフリーターまで、格差が大きい。
新型コロナの影響が大きく出たのも非常勤医師です。
医師の転職サイトを通して、仕事を探す医師は多くいます。

介護施設勤務医師
医師リタイア後の勤務先として人気です。
転職で今後の需要も見込めます。

産業医
一般企業に勤務する医師で、求人ニーズは高いです。
都市部の専属医はかなりの狭き門になっています。

開業医
アフターコロナで廃業、もしくは開業をやめる医師が増えると予測されます。
その場合、他の病院・クリニックへ転職する医師が増えるでしょう。

今後の医師の需要

今後は、診療科によっても医師の需給が大きく変わってきますので、今の診療科目を極めるのか、それともほかの診療科目に移るのかを考える時期に来ているといっても過言ではないでしょう。

今現在、過剰気味の診療科目には、皮膚科、耳鼻咽喉科、精神科、眼科があります。

その中では眼科が、開業医では報酬、利益率も高い診療科目です。

しかし、今後は開業医の人気診療科の競争も激しくなると予想されており、開業する予定だった勤務医が開業を諦めて、他の病院に転職したり、今は開業医だったとしても、より安定している勤務医への転職が増えていくことも予想されています。

医師の転職市場はコロナ禍の状況で鈍っていますが、再び医師求人サイトや医師専門の転職エージェントの活用が増えていくことは間違いないでしょう。

2019年末時点の医師の国家資格保有者は57万人ですが、20年後の医師の需要は、アンケート調査(メドピア調べ)で『4割超が、今よりも医師需要が減少する』(※2)としています。

アンケート調査では、具体的に20年後に増える診療科と減る診療科は以下の通りです。

20年後に増える診療科 20年後に減る診療科

増える科は高齢社会に必須の診療科が上位に、減る診療科は少子化やロボットで代替できるようになる診療科が上位に挙がっています。

医師の働き方も変わる?

アフターコロナでは医師の働き方も変わってくると考えられています。

病院に勤める勤務医は医師の中でく4人に3人近くおり、転職者も多い層です。

この層が転職の中心になりますが、厚生労働省の資料によると2028年~2033年時点で医師の供給過剰になるのではないかと予想されています。

AIやロボットの進化により、医師自身の働き方は間違いなく変わってくるはずです。

したがって、今から将来を予測し、その時にどのような医師になっていればよいのかを考えて転職をすることをお勧めします。

参考資料・データ
※1
『医師の需給推計について』(厚生労働省)

※2
『医師3300人が回答「20年後に食いっぱぐれない診療科」ランキング!』(ダイヤモンド・オンライン)